【ポスト前チェックリスト】企業SNS インフルエンサー連携投稿の炎上リスクと対策
企業SNS運用において、インフルエンサーや外部協力者との連携は、新たな層へのリーチやブランドイメージの向上に有効な手段として広く活用されています。しかし、その一方で、連携先との認識のずれや不適切な表現が原因となり、企業自身の炎上リスクに繋がるケースも少なくありません。
本稿では、企業がインフルエンサーや外部協力者と連携してSNS投稿を行う際に考慮すべき炎上リスクと、それらを未然に防ぐための具体的なチェック項目および対策について解説します。
連携投稿における主な炎上リスク
インフルエンサーや外部協力者との連携投稿には、以下のような多様なリスクが潜んでいます。
- 連携先自身の問題:
- 過去の不適切な言動や炎上歴が掘り起こされ、企業に飛び火する。
- 反社会的な思想や特定の集団へのヘイト発言などが発覚する。
- ステルスマーケティングや不正確な情報発信といった倫理的な問題がある。
- 投稿内容に関する問題:
- 投稿内容が企業側の意図や契約内容と異なっている。
- 商品やサービスに関する誇大広告、薬機法・景品表示法に抵触する可能性のある表現。
- 企業が求める表現ガイドラインやトーン&マナーが守られていない。
- 特定の文化、価値観、ジェンダーなどに対する配慮に欠けた表現。
- 著作権やプライバシー権を侵害する画像・動画・テキストの使用。
- プロモーションであることを明記せず、ステルスマーケティングと受け取られる。
- 連携体制・コミュニケーションの問題:
- 契約内容の曖昧さや連携先との認識のずれ。
- 投稿内容の事前確認フローが確立されていない、または機能していない。
- リスク発生時の連絡体制や対応プロトコルが共有されていない。
これらのリスクは、企業のブランドイメージを大きく損ない、信頼失墜に繋がる可能性があります。
炎上を防ぐための事前チェックリスト
連携投稿による炎上リスクを最小限に抑えるためには、事前の thorough な準備とチェックが不可欠です。以下のチェック項目を確認し、社内での体制構築にご活用ください。
1. 連携先の選定とデューデリジェンス
- □ 連携先の過去のSNS投稿や活動履歴に問題がないか、十分なリサーチを行いましたか。
- □ 連携先のフォロワー層やエンゲージメントが、企業のブランドイメージや目的に合致していますか。
- □ 連携先が過去に炎上経験がある場合、その原因と対応について確認し、今回の連携におけるリスクを評価しましたか。
- □ 連携先の倫理観や価値観が、企業のそれと大きく乖離していないか確認しましたか。
- □ 過去にステルスマーケティング等で問題となった履歴がないか確認しましたか。
2. 契約内容の明確化
- □ 投稿回数、期間、投稿プラットフォーム、使用するハッシュタグなどが明確に定義されていますか。
- □ 投稿内容に関する具体的な指示や、盛り込むべき情報、禁止事項が明記されていますか。
- □ 投稿内容の事前確認プロセスと、企業側の修正権が契約に盛り込まれていますか。
- □ プロモーションであることを明確に表示する方法(#PR, #広告など)について合意し、契約書に記載されていますか。
- □ 投稿に関する著作権や肖像権、使用許諾範囲について明確に定めていますか。
- □ 契約違反やリスク発生時(炎上など)における連携の停止、損害賠償、情報開示に関する取り決めがなされていますか。
3. コミュニケーション体制の構築
- □ 連携期間中、円滑なコミュニケーションを取るための担当者や連絡手段が明確になっていますか。
- □ 投稿内容やスケジュールに関する疑問点を解消するための定例確認や随時のコミュニケーションが可能な体制ですか。
- □ 連携先が企業のブランドや商品について正確に理解できるよう、十分な情報提供を行いましたか。
4. 投稿内容の事前確認フロー
- □ 投稿予定のテキスト、画像、動画などの全コンテンツを事前に企業側で確認するプロセスが確立されていますか。
- □ 確認担当者は、企業の表現ガイドライン、薬機法・景品表示法、SNSプラットフォームの規約、そして過去の炎上事例から得られた教訓などを理解していますか。
- □ 確認プロセスにおいて、差別的・攻撃的な表現、誤解を招く情報、誇大表現がないかを複数の目でチェックする体制ですか。
- □ 確認から承認、そして投稿までのスケジュールに無理がなく、十分な確認時間を確保できていますか。
5. リスク発生時の対応プロトコル共有
- □ 連携先と、万が一炎上や問題が発生した場合の初動対応、情報共有方法、対外的なコミュニケーション方針について事前に協議し、共有していますか。
- □ 企業側で定めているSNSリスク発生時の対応マニュアルを、必要に応じて連携先と共有または説明しましたか。
まとめ
インフルエンサーや外部協力者との連携は、企業SNS戦略において強力な武器となり得ますが、その活用には潜在的なリスク管理が不可欠です。本稿でご紹介したチェックリストは、投稿前の確認はもちろんのこと、連携先の選定から契約、コミュニケーション、そして事後対応に至るまで、体系的なリスク管理体制を構築するための礎となります。
連携先との良好な関係を築きつつ、常に「企業のアカウントとして発信する情報である」という意識を持ち、厳格なチェック体制を運用することで、外部連携による炎上リスクを低減し、安全かつ効果的なSNSプロモーションを実現していただければ幸いです。